震災被害と格差など(非原発立地自治体)③

震災における被害状況と各自治体のデータについていくつか。続き
これまでにTwitterFacebookで公開してきたもの。


先のエントリーで出したデータでは、原発自治体が特異なクラスターを作っていて、他の自治体のデータが解釈しづらかった。
そこで、津波被災地で特に非原発立地地域に注目したデータを紹介する。


この記事が元にしているFacebookのノートはこちらなど
http://www.facebook.com/note.php?note_id=149076141841347



死亡率と平均所得(非原発立地地域)



次に、建物被害と財政・所得の関係について検討したい。
建物被害の割合と死亡率の間には当然ながら高い相関関係が存在する(相関係数0.727)。

建物被害については、(総務省速報データになく)元の建物数のデータが入手できていない自治体があるので、現状データが手に入ったところだけ提示している。


まずは、建物被害と財政指数のデータプロットを提示する。



建物被害と財政指数




財政指数と建物被害の間に負の相関関係があることが見て取れる。

次に、平均所得と建物被害の関係についてみてみる。




人的被害・建物被害の状況の背景として、財政指数・平均所得・年齢階層別の人口・産業別就業人口・津波による浸水面積や浸水面積における人口比率などを相関取ってみると、「被害と財政・所得の間の負の相関、第一次産業地域における財政・所得の低さ(貧困)、そして第一次産業地域における高齢化などの傾向が確認できる。」


以上の結果から、今回の震災は、キッカケは天災であったが、その被害拡大の裏には、経済格差があり、それらが農業・漁業地域における貧困・高齢化の問題と不可分であることが想起される。
これは、まさしく災害社会学などで言われる「社会的脆弱性」の問題。


すくなくとも、震災の問題は、社会構造の問題として「も」語られなければならない。


また、原発事故が事態をより厄介にしている。
相対的に津波の被害を免れた福島の地域でも、多くの人が避難する必要に迫られていることをみても、その質がうかがえるだろう。


地域によって問題は異なり、また時間軸においても問題は異なってくるのである。


※また、もう2点言及しておきたい。
それは、被害はリアス式海岸地域でより大きなものとなっているが、それでもリアス式海岸地域の中での経済格差と被害の負の相関がみられるということだ(そして、平野部でも同様)
もう1点は、なぜ被害のひどかったリアス式海岸地域が総じて貧困であるのかということの意味は考慮されなければならないだろう。