震災被害と格差など(震災報道編)

次のエントリーは、Facebookの次のエントリーなどに提示しているものを上げなおしたものです。
http://www.facebook.com/note.php?note_id=116401415108820
http://www.facebook.com/note.php?note_id=117021711713457
http://www.facebook.com/note.php?note_id=117287055020256
http://www.facebook.com/note.php?note_id=121284884620473
http://www.facebook.com/note.php?note_id=149079848507643



※以下Preliminaryな結果ですので扱い注意お願いします。

朝日新聞における地震津波原発の報道の期間で分けた分析をしてみた。
(ひとまず、対象期間は、3月11日〜4月20日までのもの)


まずは、震災後1カ月半の間の、「地震」、「津波」、「原発」というキーワードの登場割合の変化を見てみよう。






次に、対象期間を6つに分けて、キーワードネットワークの構造変化を見てみた。
出しているのは、6つに分けてやってみたものの内の2つの例。


①3月11日〜3月17日までの記事セット
3月11日〜3月17日の記事におけるキーワードネットワーク
Cosine≧0.375, 400word, 配置アルゴリズム:Kamada-Kawai, 中心性指標:Betweeness)




②4月15日〜4月20日までの記事セット
4月15日〜4月20日の記事におけるキーワードネットワーク
Cosine≧0.375, 400word, 配置アルゴリズム:Kamada-Kawai, 中心性指標:Betweeness)




とりあえず、最初は混乱し、とにかく流していた情報が、次第に分化していくという過程は割と見えている感じ。
これらの結果の意味を簡単に書いておこう。
3月11日〜3月17日の記事において、キーワードネットワークの構造から、震災の報道において、地震津波の多くが原発と結び付けられて語られたことが分かる。

そして、4月15日〜4月20日の記事の分析になると、地震津波の話題と原発の話題が総体として分化している傾向になりつつあることが分かる。データはアップしてないけれど、ここまでは、原発事故と地震津波にかかわるキーワード群はかなり密接に結びついていて、6週目になってようやく離れつつある傾向が見て取れた。


つまり話題の分化に、およそ1か月半の時間を要していると解釈できる。
(それまでは、地震津波原発に関わるキーワードが、緊密なネットワーククラスタを形成している)
キーワードの登場率の推移も踏まえれば、


「最初の1か月半の間において、地震津波の話題は原発に呑まれた」

と言っておそらくよいだろう。


今回提示しているデータは新聞報道(しかも朝日新聞のもの)だが、
原発事故が、社会的関心のリソース分配に大きく影響しただろうことは想像に難くない。

ちなみに、たとえば、仙台の地元紙である河北新報でも、3月13日朝刊のトップは原発における水素爆発であり、それから1週間ほどの間、一面トップのほとんどは原発である。
(仙台の地元紙であるにも関わらず!だ)

(おそらく、先の被害と社会構造における結果も含めて)
原発が、震災の背景にある各種の社会問題を覆い隠し、関心を逸らさせてしまう機能を果たしうるという危惧を持たずにはいられない。
アジェンダ設定装置としても、原発は酷く強力だったとも表現できるかもしれない。
その影響力は、震災の被害と背景の実態を捉えそこなわせるかもしれない。


今回提示したデータ群が、震災の背景理解において一助となることを望む。