災害弱者と情報弱者: 3.11後、何が見過ごされたのか
東日本大震災・原発事故をめぐり実証的な調査を続けてきた内容が書籍として出版されることになりました。
データ等の一部については以下の過去エントリーやTogetterなどにもあります。
http://d.hatena.ne.jp/r_shineha/20120312/1331546849
http://d.hatena.ne.jp/r_shineha/20120123/1327302261
http://d.hatena.ne.jp/r_shineha/20111121/1321872514
http://togetter.com/li/243557
しかし、震災・原発事故の問題はまだまだ現在進行中の問題であり、これでハイ終わりなんてありえないです。
学者として出来るせめてものことは、きちんと継続して問題を見続けること、そのことを実証的に示すこと、そしてそれを世に問うことだと考えています。
力不足ながら、少しでもそういう形での貢献を今後も続けていきたいと思います。
「災害弱者と情報弱者: 3.11後、何が見過ごされたのか」
田中幹人(著), 標葉隆馬(著), 丸山紀一朗(著)
筑摩書房、2012年7月12日
http://amzn.to/KaR84P
以下目次一覧
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序章:おびただしい情報とどう向き合うか
情報の洪水のなかで/本書の視点
第1章:災害弱者‐3.11被害とその背景にある社会
- 現代社会におけるリスク分配と不平等/
- 災害と災害弱者/
- 東日本大震災、その被害の概要/
- 複合的災害の被害と社会背景について/
- 原発立地地域の被害の特異性/岩手県北部の被害について/
- 津波はどのような地域を襲ったのか/
- 非原発立地に見る被害と社会構造/
- 阪神・淡路大震災に見る格差/
- 陰の教訓に敢えて目を向けることー神戸市長田区で起きたこと
第2章:情報弱者‐震災をめぐる情報の格差
- 被害格差、経済格差、情報格差ー情報をめぐる二つの格差/
- 震災・原発事故をめぐる情報格差/
- 情報環境の脆弱性/
- 被災地における情報環境/
- 言論・関心の中心からの疎外ー私たちは何を見て、何を見なかったのか/
- 震災後、最初の1カ月半における「地震・津波・原発事故」報道の推移/
- 「朝日新聞」に登場したトピックスとその扱われ方の変化/
- ネットメディアにおける話題・関心の変化ーブログエントリーの推移から
第3章:震災後3カ月間の情報多様性
- メディア上の議題を捉えること/
- 情報空間の多様性ー情報の渦のなかで/
- 「情報多様性」と「生物多様性」/
- 情報の多様性にまつわる先行研究/
- 分析の期間と対象/
- 分析①‐分析のレベルとトピックスー意見の類型化/
- この分析の限界/
- 分析②‐内容分析と「横並び報道」の分析/
- 震災を「忘れて」いくメディア/
- 「ウェブは多様」だったのだろうか/
- ここまでのまとめ/
- 新聞の「横並び報道」は本当だったのか/
- どのような情報摂取が望ましかったのか
終章:「私たちが持つべき視点」の獲得に向けて
- 再び、弱者に関して/
- 「いま議論すべきこと」は誰が決める?−議題設定と議題構築/
- オルタナティブ・メディアの現代的な意義と役割/
- 見えざる「視線の圧力」/
- 現代のインターネットは、情報格差によって駆動している/
- 「市民もまた、ニュースに対する権利と責任がある」/
- 第十の原則/
- 私たちが獲得すべき情報リテラシーとは?/
- おわりにーこの研究が見過ごしたもの
脚注
あとがき
掲載図表一覧
参考文献